「自分の人生は自分で決める」とは、よく聞く言葉ですし、なんとなく人生において大事なことを表している言葉だと感じる方が多いでしょう。
ですが、残念ながら、この言葉の意味をクリアに理解できている方は非常に稀です。
おそらく90%以上の方、自分の人生を「自分で決めている状態」と「誰かに決めてもらっている状態」とを明確には区別できていません。
そのため、自分の人生を自分で決めているつもりでも、実は誰かに決めてもらっていて、「誰かの人生を生きている」というケースが圧倒的に多いのです。
そこで、本記事では、「自分の人生は自分で決める」とは一体どういうことなのかを、できる限りシンプルな言葉で説明していきます。さらに、「自分の人生を自分で決める」ために欠かせない条件にも言及します。
最後まで読めば、あなたが自分の人生を生きているビジョンが明確になるだけでなく、そのために何をしていけば良いかという重大なヒントを得られるはずです。
1. 「自分の人生を自分で決めない」とは
まず、「自分の人生は自分で決める」とは反対の「自分の人生を自分で決めない」というのがどういうことかを説明します。
1.1 子どもは自分の人生を親に決めてもらっている
わかりやすいので、子供の例から説明させてください。小学生くらいまでの子どもは、以下のように、少なからず親の言うことに従って生きています。
- 親が用意した家に住む
- 親が用意したご飯を食べる
- 親が用意した服を着る
- 親に言われた保育園や幼稚園、学校に行く
これらは当然に感じるかもしれませんが、この頃の子どもたちには、親から与えられた以外の選択肢が選択肢を知らなければ、他のものを選択できるだけの経済力もありません。
他の選択肢を選ぼうという意思すらないケースも多いでしょう。
そのため、仮に何か不満に感じたことがあったとしても、その思いを押し込めて、親の言う通りに生きる選択をナチュラルに行っています。
1.2 大人も完全には自分の人生を生きれていない
とはいえ、大人になるにつれて、自分の意思で選ぶことも増えてくるでしょう。
自分で仕事をしてお金を稼いでいれば、そのお金で物やサービスを利用しますし、親の影響を受けることも表面上は少なくなるからです。
それでは、大人になったら完全に自分の人生を生きれるようになるのかというと、決してそうではありません。
なぜなら、大人になっても、相変わらず親の影響を受けることもあれば、親以外の人の影響を受けるからです。親以外で代表的なのは、以下の人たちからの影響でしょう。
- 上司
- 旦那さんや奥さん(彼氏や彼女)
- 身近な影響力を持つ人
- 友達
- 部下や後輩!
ここで注目なのは、自分よりも立場の強い人だけでなく、立場が同等な人や、立場の弱い人からの影響を受けることもある点です。
1.3 自分の人生を生きていないときの4つの心境
それでは、「自分の人生を生きていないとき」には、何が起きるのでしょうか。具体的には、以下の4つの感情が自分の中に芽生えるケースが多いのです。
- 無自覚の影響
- 失敗した事実の強調
- 自分の正しさの主張
- 責任のなすりつけ
それぞれ丁寧に説明していきます。
1.3.1 無自覚の影響
「無自覚の影響」とは、自分がさほど明確に意識していないものの、過去の誰かからの影響を受けて今の自分が選択することです。
たとえば、高級な洗濯機を買おうと思ったときに、ふと「贅沢はしてはいけない」と親から昔言われた言葉が頭を一瞬よぎり、安価な洗濯機を購入したとします。
実は、こうしたケースはよく起きるのですが、一瞬しか頭に浮かばなかったりして、影響を受けて選択したことを忘れてしまうケースが多いものです。
その場合、誰かの影響を受けたことを認めたくなくて、誰かの影響ではなく自分で選択したことにしたい心理が働いていることもあります。
1.3.2 失敗した事実の強調
次に起きるのが、その選択によって失敗した事実を強調したい気持ちが働くことです。
先の洗濯機の例の続きで、親の意見に影響を受けて安価な洗濯機を購入したら、その洗濯機が粗悪品で、2週間ほどで壊れてしまったとします。
このとき、「ほら!お前の言う通りにしたら、失敗したじゃないか!」という気持が沸き起こるようなのが例です。
冷静に考えたら大したことがないような事象であったとしても、相手を責めたいが為に、やたらと自分の失敗を強調したがることもあります。
1.3.3 自分の正しさの主張
その次に出てくるのが、「自分の正しさの主張」です。
先の例でいうと、安い洗濯機でなく高い洗濯機の方を選んでおいた方が良いかもしれないと感じていたことを思い出して、あたかも自分は安い洗濯機を購入することに反対の立場であったように感じたりします。
ただ、高い洗濯機のほうがよいかもしれないとは感じた瞬間があったのは事実だと思いますが、それでも自分が安い洗濯機のほうが良いと思ったからそれを購入したわけです。
1.3.4 責任の訴求
そして、最後に、「責任の訴求」をしたくなります。。
先の例では、親に対して、「あなたの言う通りにして失敗したんだから、あなたが責任を取ってよ!」と言わんばかりに、壊れた洗濯機の代金を請求したいような気持ちになることです。
あなたに、1-3-1~1-3-4のような感情が湧いてきているとき、あなたは自分の人生を生きておらず、誰かの人生を生きていると言えるでしょう。
2. 自分の人生は自分で決めるとは、選択の責任を取ること
「自分の人生は自分で決める」とは、選択の責任を取ることを意味します。
ここでいう「責任を取る」というのは、上述した4つの心が浮かんだ後に、その思いを渋々と飲み込んで、自分がその失敗の責任を背負うことではありません。
そんなことをしたら、ちょっぴり良いことをした気になって、ある意味では気分が良くなるかもしれませんが、心の奥には4つの心境が残っています。
すると、かえって「責任を取ろう」と振る舞った結果、かえって不満ばかりが溜まり、「どうして、あの人の判断ミスの責任を、自分が負わなければいけないんだ!」という気になってきてしまいます。
選択の責任を取るとは、自分が選んだ選択の結果に対して文句や不満を感じずに、幸せに生きることです。
たとえば、選択の責任を取っている人なら、自分で安い洗濯機を買う選択をして、それが壊れたとしても、そのことで親を責めたりせずに、機嫌よく生きることでしょう。
3. 自分の人生は自分で決めるの例
イメージしづらいと思うので、「自分の人生は自分で決める」の例を、あと何個か例を挙げてみましょう。
3.1 自分の人生は自分で決めるの例①:仕事
自分の人生は自分で決めるの例として、仕事の例を挙げます。
たとえば、家族が望む就職先や、社会的に良いとされる就職先や、高収入を得られる就職先でもないものの、自分がどうしてもやりたいと思う就職先を選ぶような場合です。
そのときに、何のネガティブな感情を抱くこともなく、楽しんでその仕事二無軽なら、自分の人生は自分で決められていると言えます。
3.2 自分の人生は自分で決めるの例②:結婚
自分の人生は自分で決めるの例として、結婚もよくある障害のひとつです。
たとえば、友達が結婚しているからという理由で、自分も30歳までに結婚しないといけないと思うのではなく、自分が一番良いと感じるタイミングで結婚するなどです。
もちろん結婚したくないなら、結婚しないのも良いでしょう。
4. 「自分の人生は自分で決める」に関する名言
「自分の人生は自分で決める」に関するアルフレッド・アドラーの名言を紹介しましょう。
アドラーは、「自分の人生は、自分で決めろ。他人に足を踏み込ませてはいけない。」と言っています。
これは、アドラーの「課題の分離」という考え方に基づくものです。
あなたがどう生きるかという「あなたの課題」は、他人ではなくあなたが決めることだと言っているわけです。
もし他人に足を踏み込ませてしまったら、自分で自分の人生のコントロールができなくなり、気づいたら不満ばかりが溜まる人生になってしまうでしょう。
そうならないためにも、きちんと自分の人生の舵は自分で切り、自分でコントロールできるようにしておくことが大切です。
5. 「自分の人生は自分で決める」に関する誤解
誤解されやすいのですが、「自分の人生は自分で決める」とは、誰かからの意見を一切無視することではありません。そんなことをしたら、他人の言うことを聞かない人だという噂が達、気づいたら孤立してしまいます。
また、誰かからの意見と違う選択をすることを推奨しているわけでもありません。つまり、誰かがAという選択肢を勧めてくれた場合に、無理してBという選択肢を選ばず、素直にAを選んでも良いわけです。
ここで本質的に大事なのは、他人の意見に感情反応したまま選択しないということです。
たとえば、誰かからもらった意見を感謝の気持ちで採用している場合、どのような結果になっても相手のせいにすることはないため、自分の人生は自分で決めていると言えます。
一方で、誰かからの意見に対してネガティブな感情反応をしたままでは、選択肢A、選択肢B、選択肢Cがある状況で、3つのどれを選んでも、結局その選択をしたことを誰かのせいにしてしまいます。
結局のところ、誰かからの意見に対して感情反応するのを辞めるしかないわけです。
6. 自分の人生は自分で決めるための必須条件
この感情反応を辞めるのとは別に、自分の人生を自分で決めるために、絶対に必要なものがあります。
それは、「勇気」です。
なぜなら、人生には確実な選択はない中で、自分の人生を自分で決めるには、自分の判断を信じてそこに飛び込むしかないからです。
どんなに知識や経験を積んでも、正しい選択ができるようにわけではありませんし、選択した結果として思いがけない出来事に遭遇するのは避けられません。
それでも、自分で選択を勇気を出して信じ続け、選んだ選択の先に続く人生を幸せに生きていく。そして、それによって、あのときに、あの選択をして良かったと思えるようにするのです。
もしこれまでの人生で、誰かに選択の責任を委ねてきた人は、初めて自分で責任をしようと思ったときに、選択の責任を取ることの怖さを痛感することでしょう。実際、自分の人生において、無難に生きることや、責められないこと、失敗しないことが最優先にしている人には、それほどの勇気を振り絞ってまで、自分の人生を生きようとする気にはなりにくいものです。
それでも、勇気を出して一歩踏み出すことが必要です。勇気を出すことは、あなたが自分の人生を生きるために、絶対に欠かせないものなのです。
7. 自分の人生は自分で決める まとめ
本記事の要点は、以下の通りです。
- 子どもは自分の人生を親に決めてもらっていますが、90%以上の大人も、自分の人生を生きれてはいない
- 自分の人生を生きれていないとき、「無自覚の影響」「失敗した事実の強調」「自分の正しさの主張」「責任のなすりつけ」という4つの心境になりやすい
- 自分の人生は自分で決めるとは、選択の責任を取ること
- 自分の人生を自分で決めるには「勇気」が必要であり、自分の判断を信じてそこに飛び込むしかない